代表

 2011年3月11日以降、幾度となくメディアを通して伝えられた惨禍に対して、自分の中から無意識に湧き出る一抹の安堵が悲しかったのを今でも覚えています。 時代も国も共にしながら、被災者との決して埋められない距離を強く感じて、兎に角少しでも「近づく」べきだと考えたのが今回の始まりでした。

 震災後初めて石巻を訪れて、あまりに残酷な光景と、日常に戻るまでに要する途方もない時間を想像して、やはり言葉を失いました。 途上国に対して感じるアンフェアと明確に違う、そこに「あった」ものが一瞬で「なくなった」という事実は、私の目にも残酷に映りました。

 突き付けられた現実をどう扱っていいのか途方に暮れて、短期間の作業を終えて帰路につきながら、 今回の震災に対して安易に答えを出さずに関わり続ける事、それだけを自分への約束にしました。

  それから10回以上被災地に赴いていますが、未だに答えは出ません。相変わらず無力を感じ、時には歩みを止めてしまおうと考える時もあります。 しかし、決して忘れてはならないのは、私個人が頻繁に足を運んで少しずつ信頼関係を築いてきた現地の方々は、震災後のこの現実と、例えどんな事があっても、生涯向き合っていかなければいけないという事です。

  幸いにも、UT-Aidには素晴らしい仲間がいるだけでなく、多くの支援者の方々の御協力によって、これまで被災地で確かな貢献をする事が出来ました。 ボランティアの意義は「被災者」と「支援者」が決めるものです。そこに私たちを必要とする声と支援の絆がある限り、私たちはこれからも活動を続けようと考えています。

 今後とも、皆さまの御支援・御協力を何卒宜しくお願い致します。



daihyou

2012年3月11日  UT-Aid初代代表 東京大学4年 鈴木邦和